どういうメカニズムで治療した歯が痛くなるのか、痛みを防ぐにはどういう方法があるのか(あるいはないのか)心当たりの方は教えてください。
言うまでもないですが、ここで得られた情報だけで判断していますので、回答が相当大外れである可能性もあることをご了承ください。
治療後(神経のある歯を削って、つめたりかぶせたりした後)の不快症状というのは、程度の差こそあれ実はそれほど珍しくないんです。
よくあるのは冷たいものが凍みるっていう症状と、ものを噛むと痛いっていう症状です。
症状に違いはあるものの、原因はほとんどが同じです。同じ原因だけど、歯髄(神経)のコンディションや患者さんの嗜好、噛み癖、治療の方法や削り方などによって、その後の症状に差が出てくるようです。
さて、リンク先をご覧ください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B1%A1%E7%89%99%E8%B3%AA
歯の表面はエナメル質という、人体でもっとも硬い組織で出来ています。現在の歯科医療では、虫歯の治療といった場合、ほぼ必ずこのエナメル質を(もちろん、必要な分だけですが)削り取ってしまいます。言わば、バリアーを除去してしまうようなものです。
エナメル質と歯髄の間には、象牙質という骨とよく似た硬さの組織があり、歯の大部分は象牙質から成っています。この象牙質は、簡単に言ってしまいますと凍みる部分です。ただ、少しずつ虫歯が大きくなっていった場合や、エナメル質が少しずつ欠けていったり磨り減っていった場合には、象牙質が・・・分かりやすく言うと変質していき、またその内面にある歯髄も順応していき、あまり凍みたりしないことが多いみたいです。凍みるという症状はないようなので、この辺については以後、割愛いたしますね。
先ほど象牙質は骨とよく似た硬さだといいましたが、もっと分かりやすい例えを挙げますと、若木の枝のような「しなり・弾力」があるとお考えください。
虫歯治療後の不快症状の出現率に関しては、虫歯の大きさよりも深さのほうが大きく関係しています。
http://www.sugisawa-dental.com/qa.htm
このリンク先の2番目の図を見てください。穴の底の部分が全部同じ深さで、かなり単純な形に削ったような図ですが、ここまでひどくなくとも、一部がかなり深くても同じことが言えます。
つまり、この図で言うと、その穴の部分に金属などをつめるわけですが、その金属に噛むことによって圧力がかかりますね。金属と歯髄の間に残っている象牙質が厚ければ厚いほど、その力は分散されたりして、歯髄への圧迫は減るのですが、逆にこの図のように薄い象牙質しか残っていない場合は、その薄い象牙質に圧がかかって歯髄の方にしなるという現象が起こることでしょう。押された象牙質がごくごくわずかですが一時的に変形して、歯髄を圧迫するわけです。押された歯髄(神経)は当然、『「痛い」と感じる』わけです。
現代歯科医療では、歯髄はなるべく残そうという方向に流れていますので、(ま、本当は、これも現在では一概に言えないのですが、一般論として)神経が露出しなかった場合は、できるだけ歯髄を残す治療をします。
逆に、絶対後々痛まないような治療を望まれた場合などは、本当なら痛みを起こさなかったかもしれないような歯髄をとってしまうこともあります。だから、私などは深い虫歯を治療したときには、患者さんに歯髄を残したほうが良いか、残さないほうが良いか決めてもらうことなどもあるくらいです。個人的には、我慢できる程度の痛みなら、まずは歯髄を残しておくのが良いとは思っていますが。言ってみれば、歯髄を取り除いた歯というのは、歯の死体みたいなものですからね。こう言うと、歯髄を取ることが悪行のように思えるかもしれませんが、逆に取らざるを得ないこともあるわけで・・・その辺の判断が出来るから、私たちがプロとして食っていける所以なのですけど、まぁ、話がややこしくなりますので、この話はこの辺で。
で、歯髄を残した場合は、その後遺症みたいなもので冷たいものが凍みたり、噛んだら痛いという症状が出てくることがあるのです。
じゃぁ、いつまでもその痛みに耐えなくてはならないのかというと、そういうわけではなく、先のリンク先の3つめの図を見ればお分かりのように、大抵の場合、第二象牙質というものが歯髄と修復物の間に形成されてきます。これは元々の象牙質よりも密度が高く、つまり硬いので、これがそれまでの冷たいものだとか圧力という歯髄に対する刺激を遮断してくれるようになります。
ただ、これも私はよく患者さんに言うのですが、必ずしも完全に症状が消えてなくなるとは限りません。元の治療後の痛みが軽ければ軽いほど、完全に痛みがなくなる可能性は高いし、逆に痛みが強ければ強いほど、完全には痛みが取れないかもしれないと。少なくとも、今よりは症状が軽減するはずです。その軽減した症状がまだどうしても気になるなら、そのときにでも神経を取ってもいいですし、それまで我慢できない、我慢した挙句に結局神経を取られることになって後悔するのなら、今のうちに神経を取っておくのもかまいませんよと。
以上は、症状が改善する場合の話でしたが、その逆ももちろんありえます。
治療して1ヶ月も経った今、既に噛んだだけで我慢できないほどの痛みがあるのなら、多分、歯髄はその刺激には耐え切れずにいつかそのうち、死んでしまうことでしょう。そうなれば結局、根の治療(歯髄の死骸を取り除いたり、何度か通院して根の中を消毒したりする治療で、大雑把に言うと、歯髄を取り除くときの治療と大きな差はありません。)
あるいは、少しずつ徐々に徐々に症状が消えていくのなら、これは好転していったと考えて差し支えないでしょうが、逆に、ある日、急に症状がなくなった、ラッキー!というような状況があった場合、これも歯髄が死んでしまった可能性が高いので、痛みが出る前に治療したほうがよろしいかと思います。
このリンクはおまけです。
http://www.iwasakashika.com/treat05.html
凍みるというのを、噛んで痛いという言葉に置き換えてお読みください。
最後になりますが、他に考えられることとしては
元々、ひびが入っていたかもしれませんし、治療をしたことによってひびが入るという不幸なことも起こり得ます。
これも不幸なことですが、治療した本人が歯髄は出ていないと自信を持って誤っている場合も、可能性としてはありましょう。この場合は、当然、患者さんがいくら痛いと訴えても、そんなはずはないと言うでしょうね。
いずれにせよ、再治療などを望まれているにもかかわらず、どうしても歯科医師が再治療に応じようとせず、尚且つそれに納得できないのであれば、他の歯科医院を受診されることをお勧めします。
ありがとうございます。治療して1ヶ月くらい痛みが続いています。そういえば「一時的なものでしょう」とも歯科医も言っていました。一過性のものかもしれませんね。
歯髄炎じゃないかと思います。
http://www015.upp.so-net.ne.jp/ataka/ETC/sizuien3.htm
同じような状態になっていました。
冷たいもの、熱いものがしみて痛いし、噛むこともできませんでした。
近所の歯医者で穴を開けてガスを抜くと痛みがおさまりました。
ありがとうございます。歯髄炎だとすると、様子を見ましょうと言われた現段階では、その歯科医では打ってもらう手立ては特にないですね。歯髄炎の可能性も考えておきます。
http://www.egami.ne.jp/knowledge/200302.html
貴方を直接診ずに適切な回答が出来るとは思えません。
医師にも得意・不得意分野がありますし、知識に偏りがあるのも事実ですからセカンドオピニオン(同じ分野の違う医師に見てもらう)がよろしいかと思います。
ありがとうございます。医師の説明に納得できないというのならその方法も考慮しなければいけませんね。おっしゃるとおりだと思います。
今全く同じ状況です!
あまりに納得がいかないので、自分で、歯医者で使うような細い棒を買って、どこが痛むのかを調べてみたら、痛む場所を発見し、歯の側面から歯の神経がどうやら出ているようでした。
次回診察時に、それを伝えて、神経を取るのではなくて、白いもので被せてもらおうと思っています。
私も歯磨きすら痛くて出来ない状況です(歯先が神経にあたるため)
同じ状況かはわかりませんがご参考程度に
ありがとうございます。お互い似たような状況のようですね。痛いの困りますよね。aiainaさんもお大事になさってください!
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/reader/200604/2006041500081.htm
詰め物をした歯ではないでしょうか?
私の場合は神経を抜いた上奥歯で同じような症状になったことがあります。
ちょうど6月頃の同じジメジメした時期だったでしょうか。
治療してもらった歯科医にいったら、
回答2で書かれているような治療をしてもらいました。
レントゲンとり、かぶせた詰め物をはずして数日間様子を見て、またかぶせ物をしたら直りました。
説明では根幹で菌が繁殖しているかもしれないので、ガスを抜きますと言われたような記憶があります。
念のために菌の繁殖をおさえるための飲み薬?も処方された記憶があります。
かかりつけの先生なのかもしれませんが、
セカンドオピニオンに相談するのがよいかもしれません。
ありがとうございます。神経も抜かず、詰め物もしていない、表面を少しけずってプラスチックでふたをしただけの奥歯です。リンク先を読んでいると、痛みが続くようならトピックとは状況は違うけれどセカンドオピニオンを受ける必要を感じました。とても参考になりました。
http://homepage3.nifty.com/dental-coga/
↑ダミーです。
歯科医師です。
すみませんが、簡単な「問診」をさせてください。
回答ではないので、ポイントは要りません。
痛むとは
冷たいものを食べたとき(口に含むだけでも、あるいは冷たいものをかんだときのみ)にズキーンとしますか?
熱いものを食べたとき(口に含むだけでも、あるいは冷たいものをかんだときのみ)にズキーンとしますか?
ものを噛むとズンとする痛みがあるようですが、温度に関係なく、食べ物の硬さによって痛みの有無や程度は変わりますか?あるいは食べ物が口の中になくてもぐっと食いしばるだけでも、痛みますか?
ありがとうございます。冷たいもの・熱いものは、口に含んだだけではまったく痛みません。物を噛んだときだけの痛みで、痛むときは温度や硬さにかかわらずご飯粒のようなものでもズキンと痛みます。歯科医でゴム棒のようなものを噛んでみるように言われたときや、食べものが口の中にないときに噛みしめても痛みません。
言うまでもないですが、ここで得られた情報だけで判断していますので、回答が相当大外れである可能性もあることをご了承ください。
治療後(神経のある歯を削って、つめたりかぶせたりした後)の不快症状というのは、程度の差こそあれ実はそれほど珍しくないんです。
よくあるのは冷たいものが凍みるっていう症状と、ものを噛むと痛いっていう症状です。
症状に違いはあるものの、原因はほとんどが同じです。同じ原因だけど、歯髄(神経)のコンディションや患者さんの嗜好、噛み癖、治療の方法や削り方などによって、その後の症状に差が出てくるようです。
さて、リンク先をご覧ください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B1%A1%E7%89%99%E8%B3%AA
歯の表面はエナメル質という、人体でもっとも硬い組織で出来ています。現在の歯科医療では、虫歯の治療といった場合、ほぼ必ずこのエナメル質を(もちろん、必要な分だけですが)削り取ってしまいます。言わば、バリアーを除去してしまうようなものです。
エナメル質と歯髄の間には、象牙質という骨とよく似た硬さの組織があり、歯の大部分は象牙質から成っています。この象牙質は、簡単に言ってしまいますと凍みる部分です。ただ、少しずつ虫歯が大きくなっていった場合や、エナメル質が少しずつ欠けていったり磨り減っていった場合には、象牙質が・・・分かりやすく言うと変質していき、またその内面にある歯髄も順応していき、あまり凍みたりしないことが多いみたいです。凍みるという症状はないようなので、この辺については以後、割愛いたしますね。
先ほど象牙質は骨とよく似た硬さだといいましたが、もっと分かりやすい例えを挙げますと、若木の枝のような「しなり・弾力」があるとお考えください。
虫歯治療後の不快症状の出現率に関しては、虫歯の大きさよりも深さのほうが大きく関係しています。
http://www.sugisawa-dental.com/qa.htm
このリンク先の2番目の図を見てください。穴の底の部分が全部同じ深さで、かなり単純な形に削ったような図ですが、ここまでひどくなくとも、一部がかなり深くても同じことが言えます。
つまり、この図で言うと、その穴の部分に金属などをつめるわけですが、その金属に噛むことによって圧力がかかりますね。金属と歯髄の間に残っている象牙質が厚ければ厚いほど、その力は分散されたりして、歯髄への圧迫は減るのですが、逆にこの図のように薄い象牙質しか残っていない場合は、その薄い象牙質に圧がかかって歯髄の方にしなるという現象が起こることでしょう。押された象牙質がごくごくわずかですが一時的に変形して、歯髄を圧迫するわけです。押された歯髄(神経)は当然、『「痛い」と感じる』わけです。
現代歯科医療では、歯髄はなるべく残そうという方向に流れていますので、(ま、本当は、これも現在では一概に言えないのですが、一般論として)神経が露出しなかった場合は、できるだけ歯髄を残す治療をします。
逆に、絶対後々痛まないような治療を望まれた場合などは、本当なら痛みを起こさなかったかもしれないような歯髄をとってしまうこともあります。だから、私などは深い虫歯を治療したときには、患者さんに歯髄を残したほうが良いか、残さないほうが良いか決めてもらうことなどもあるくらいです。個人的には、我慢できる程度の痛みなら、まずは歯髄を残しておくのが良いとは思っていますが。言ってみれば、歯髄を取り除いた歯というのは、歯の死体みたいなものですからね。こう言うと、歯髄を取ることが悪行のように思えるかもしれませんが、逆に取らざるを得ないこともあるわけで・・・その辺の判断が出来るから、私たちがプロとして食っていける所以なのですけど、まぁ、話がややこしくなりますので、この話はこの辺で。
で、歯髄を残した場合は、その後遺症みたいなもので冷たいものが凍みたり、噛んだら痛いという症状が出てくることがあるのです。
じゃぁ、いつまでもその痛みに耐えなくてはならないのかというと、そういうわけではなく、先のリンク先の3つめの図を見ればお分かりのように、大抵の場合、第二象牙質というものが歯髄と修復物の間に形成されてきます。これは元々の象牙質よりも密度が高く、つまり硬いので、これがそれまでの冷たいものだとか圧力という歯髄に対する刺激を遮断してくれるようになります。
ただ、これも私はよく患者さんに言うのですが、必ずしも完全に症状が消えてなくなるとは限りません。元の治療後の痛みが軽ければ軽いほど、完全に痛みがなくなる可能性は高いし、逆に痛みが強ければ強いほど、完全には痛みが取れないかもしれないと。少なくとも、今よりは症状が軽減するはずです。その軽減した症状がまだどうしても気になるなら、そのときにでも神経を取ってもいいですし、それまで我慢できない、我慢した挙句に結局神経を取られることになって後悔するのなら、今のうちに神経を取っておくのもかまいませんよと。
以上は、症状が改善する場合の話でしたが、その逆ももちろんありえます。
治療して1ヶ月も経った今、既に噛んだだけで我慢できないほどの痛みがあるのなら、多分、歯髄はその刺激には耐え切れずにいつかそのうち、死んでしまうことでしょう。そうなれば結局、根の治療(歯髄の死骸を取り除いたり、何度か通院して根の中を消毒したりする治療で、大雑把に言うと、歯髄を取り除くときの治療と大きな差はありません。)
あるいは、少しずつ徐々に徐々に症状が消えていくのなら、これは好転していったと考えて差し支えないでしょうが、逆に、ある日、急に症状がなくなった、ラッキー!というような状況があった場合、これも歯髄が死んでしまった可能性が高いので、痛みが出る前に治療したほうがよろしいかと思います。
このリンクはおまけです。
http://www.iwasakashika.com/treat05.html
凍みるというのを、噛んで痛いという言葉に置き換えてお読みください。
最後になりますが、他に考えられることとしては
元々、ひびが入っていたかもしれませんし、治療をしたことによってひびが入るという不幸なことも起こり得ます。
これも不幸なことですが、治療した本人が歯髄は出ていないと自信を持って誤っている場合も、可能性としてはありましょう。この場合は、当然、患者さんがいくら痛いと訴えても、そんなはずはないと言うでしょうね。
いずれにせよ、再治療などを望まれているにもかかわらず、どうしても歯科医師が再治療に応じようとせず、尚且つそれに納得できないのであれば、他の歯科医院を受診されることをお勧めします。
非常に丁寧に説明していただきありがとうございます。よくわかりました。受診した歯科医さんでこういった説明を受けられていたとしたらよかったのにと思います。実際に目で見てもらうことのできないこういう場で、的確な回答をいただけて大変ありがたいです。
非常に丁寧に説明していただきありがとうございます。よくわかりました。受診した歯科医さんでこういった説明を受けられていたとしたらよかったのにと思います。実際に目で見てもらうことのできないこういう場で、的確な回答をいただけて大変ありがたいです。