おそらく答えられる人は、日本に数百人以上はいると思うのでお願いします。
テレビを見ても、基礎の分かっていない人の報道ばかりなので、全く参考になりません。
1.
制御棒で遮断することで連鎖反応は止まったのでしょうか。それとも水で遮断しないと連鎖反応が起きる可能性があるのでしょうか。
遮断するものは中性子でしょうか。
水を入れる目的は冷やすことでしょうか、それとも中性子を遮断することでしょうか。
2.
現時点で、水がないと、一本一本の燃料棒中のウラン化合物が露出する可能性があるのでしょうか。
露出する理由は、1本の燃料棒中のウラン化合物だけで、その周りの防護材を融解するだけの熱が出るのでしょうか。
1.
軽水炉の場合は、減速材と冷却水を一つの水(軽水)で兼用しています。
軽水炉でも加圧水型と沸騰水型がありますが、今回の原子炉は後者です。
つまり、減速材として使った水そのものを蒸気に変えタービンを回す仕組みになります。
軽水炉の場合は、制御棒を動かすことで中性子の量を調整して制御するわけなのですが今回の場合
弁の故障とかでこれが動作しません。
そこで、制御する方法として減速材をいれて反応を弱めるという手段しかどれません。
もちろん、冷却も必要です。減速材として水にホウ酸などをいれる場合がおおいです。
冷却してとめるというわけでなくて、反応速度を弱めない限り冷却程度では反応は止まりません。
>制御棒で遮断することで連鎖反応は止まったのでしょうか。それとも水で遮断しないと連鎖反応が起きる可能性があるのでしょうか。
連鎖反応は止まります。
>遮断するものは中性子でしょうか。
その通りです。
>水を入れる目的は冷やすことでしょうか、それとも中性子を遮断することでしょうか。
冷やすことです。
>現時点で、水がないと、一本一本の燃料棒中のウラン化合物が露出する可能性があるのでしょうか。
あります。
>露出する理由は、1本の燃料棒中のウラン化合物だけで、その周りの防護材を融解するだけの熱が出るのでしょうか。
難しい質問ですが、冷えた状態であれば、管理が簡単なのでそのようなことはありませんが、今回は発電に使用している状態で分裂を盛んに起こさせていた状態ですので、今の状態であればそれだけの熱が出る可能性は十分にあります。
時間をかけて熱を下げていけば、そのようなことはなくなります。
15日の12:00時点でその可能性があるということですね。
制御棒で遮断することで連鎖反応は止まったのでしょうか。それとも水で遮断しないと連鎖反応が起きる可能性があるのでしょうか。
制御棒によって止まります。
遮断するものは中性子でしょうか。
そうです。
水を入れる目的は冷やすことでしょうか、それとも中性子を遮断することでしょうか。
両方の意味があります。
現時点で、水がないと、一本一本の燃料棒中のウラン化合物が露出する可能性があるのでしょうか。
可能性があります。
露出する理由は、1本の燃料棒中のウラン化合物だけで、その周りの防護材を融解するだけの熱が出るのでしょうか。
融解させることができます。
また、燃料棒自身が融解する可能性があります。
ウランが全部集まれば、連鎖反応的に爆発するのでしょうか。
ご質問に対しての回答はもう出揃っているようなので、コメントについて回答させていただきます。
・燃料棒は完全に入っていないのではないか
入っていると考えてよろしいかと思います。
ウラン燃料は一度中性子線源を投入し核分裂反応をはじめますと、継続的に核分裂を起こしていきます。制御棒などを抜き、中性子線源がなくてもウラン燃料の核分裂から出る中性子だけで連鎖的に核分裂反応を起こしている状況を『臨界』と申しますが、これに制御棒を入れても核燃料自体はゆっくりと核分裂反応を続けていきます。この核分裂反応には熱の発生が伴ない、これを冷やさなければ燃料被覆管が溶けてしまいますし、中性子の減速材である水が蒸発して圧力容器内の圧力を上げてしまうということになります。
・ウラン化合物が水に接触しているからこそ、放射性物質が水蒸気に交じるのでしょうか。
ウラン235は核分裂を起こすといくつかの核分裂生成物になります。
今回、炉外で検出されたセシウム137やヨウ素131、キセノンなどはこの核分裂生成物であり、放射性物質なのですが、これは核分裂によって原子炉内に蓄積していたものであり、蒸気放出の過程で出てきたものであると考えられます。
・15日の12:00時点でその可能性があるということですね。
防護材というのは核燃料を覆っている被覆管という事でしょうか? であるならば、一部もうすでに溶解は起こっていると申し上げてよろしいかと思います。
圧力容器や格納容器を指すのであれば、それそのものを溶かす事はありません。
1960年頃、原子力発電所が出来たての頃においてよく言われていた『チャイナ・シンドローム』は高熱の炉心が地球を貫いてアメリカから中国へ行ってしまうというお話しだったのですが、炉心融解(メルトダウン)が起きたチェルノブイリ原発事故を見ていただく通り、融解した炉心は原子炉内の水に触れた段階で水蒸気爆発(水素爆発ではありません。製鉄所などでも起きる高温の物質に水が触れ、一気に水蒸気になるというアレです)が起き、圧力容器や格納容器、原子炉建屋などが破壊される戸いう状況となります。(それ自体は重篤というか、目を覆いたくなる事故ですので、溶けない事がなんの救いにもなりませんが)
ただ、現時点において幾度か燃料露出を起こした2号機は地震発生後からの冷却過程である程度冷えていますので上記の様な状況は起こりえないと考えます。
現時点において重視されるのは、燃料露出による水素ガスの発生から来る水素爆発ではないかと思います。
・ウランが全部集まれば、連鎖反応的に爆発するのでしょうか。
原爆の『爆発』を想定しておられるということであれば、爆発は起きません。
原子力発電に用いられるウラン燃料は原子爆弾などに使用される燃料とは違い、連鎖反応を起こすウラン235の濃度が低く抑えられています。原爆は90%、原発は多くても20%です。(ウラン燃料は放射性同位体であるウラン238とウラン235で構成されています)
ありがとうございます。
テレビの解説では何も分からず、いらいらするだけでしたが、やっと分かりつつあります。
ところで、水蒸気爆発が起こったら、現在使用しているウランの量は、原爆1個より多いですよね?
爆発の程度(撒き散らかされる程度?)は、原爆の1/1000(?)、放射性物質の量(その場に漂っているものも含む)は、原爆の100倍?という感じでしょうか?
制御棒は完全に挿入されたとマスコミは言っていますが、そうではないのでしょうか。
そうでなく、制御棒が完全には動かず、既にウラン化合物が水に接触しているからこそ、放射性物質が水蒸気に交じるのでしょうか。